第1章

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ショッピングモールに入った僕たちはそれぞれで服を買い、お互いに似合う似合わない等を言い合いながら買い物を楽しんだ。 ―――こうやって、誰かと楽しく話しながら買い物をしたのは……いつぶりだろう。 気付けば、時刻はもう17時を回っていて……バイトもあるので、そろそろ帰らなければならない時間になっていた。 「じゃあ、そろそろ帰りますか?」 「うん、そうだね。」 「今日は……楽しかったです。ホントに、黒瀬さんが来てくれて……俺、嬉しかった。」 そう言って、照れ臭そうに笑った。 その笑顔に……胸がキュウッッと締め付けられた。 「……僕も、楽しかった。翔君と今日一日過ごせて…本当に楽しかった。」 「……黒瀬さん、俺…待てないんです。」 「……え?何を…?」 「……返事……告白の返事、聞かせてくれませんか?……ワガママだって、分かってます!けど……俺…」 そう下を向いてしまった翔君が……とても小さく見えた。 ―――まだ、正直……翔君の事を全て知った訳では無い。 けれども…… 「……いいよ、僕…翔君と付き合う。」 信じてみたかったんだ。 ―――本当の、愛を……。
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