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「よっ!」
ポカッと頭を叩かれて、僕の頭上から聞こえた声に顔を上げると……其処には僕の友人である斉木秀平〈サイキシュウヘイ〉が居た。
「シュウちゃん!いい所に!」
「……何だよ、そんなあからさまな態度取りやがって。」
「哲学のレポート、テーマって何だっけ?」
すると、シュウちゃんはあからさまな溜め息を吐いた。
「お前って、意外と抜けてる所あるよな。……ベーコンとデカルトの考え方の比較。思い出したか?」
―――ベーコン……デカルト…
「はっ!経験論と合理論だね!?」
「そうそう。ついでだから……一緒にやるか?俺もまだ終わってないんだよ。」
「え!ホントに!?やった!」
僕が素直に喜ぶと、シュウちゃんは苦笑しながらも……
「仕方ねぇな…。ほら、行くぞ。」
そう言って、僕に背を向けて先に歩き始めた。
シュウちゃんは高校からの友人で、この大学の中では唯一僕をちゃんと理解している人間だと思う。
少しつり目で怒っているように見られがちだが、本当は面倒見が良く、ぶっきらぼうながらも優しい一面がある。
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