第3章

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下を向いていた僕の頬に、温かい手が添えられる。 そして、半ば強引に……上を向けさせられる。 ―――シュウちゃんと……視線が絡む。 シュウちゃんの真剣な瞳の中に映った自分の顔は……何とも情けない顔をしていた。 「……っ……離してよ…。」 「お前が答えるまで……離さない。」 「……、…僕は、信じたいんだよ……。そんな…事……彼が裏切るなんて……僕は考えたくない。」 「……リン……。」 シュウちゃんの、力が弱まった。 僕は、その一瞬を逃さずに……スッと体を引いた。 「……ごめん、シュウちゃん。僕、シュウちゃんには迷惑とか掛けないから……だから、僕は…行くよ。」 そう言い残して、僕はシュウちゃんのアパートを後にした。 ―――僕の頭の中は……先程のシュウちゃんの言葉でいっぱいだった。 分かるんだ。シュウちゃんが言っている事は。 理解だってしているし、あながち間違っていないとも思う。 あんな、イケメンが……こんな平々凡々な年上、しかも男に一目惚れなんて正直ある訳ない。
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