第3章

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「……なっ、えっ!?」 「……御褒美に、キス貰っちゃった。」 そう言ってはにかんだ翔君に、胸がギューッとなった。 「な、何言って……」 「ふはっ!……リンさん顔、真っ赤ですよ。」 「ううっ……」 あぁ……好きだ。 ―――これ以上、好きにさせないで。 「……じゃあ、御褒美貰ったんで頑張りますね。」 そう言ってまたノートに向かって勉強をし始めた翔君に僕は小さな声で呟いた。 「……ズルイよ。」 こんなに僕を夢中にして。 どれだけ僕を惚れさせれば気が済むんだよ。 ―――そんな思いを込めて……。 「よっし!何とかテスト範囲終わりました!リンさんのお陰で集中して出来たし、理解も出来ました!」 「そっか。役に立てて良かったよ。」 「本当にありがとうございました!でも……次、来れるのテスト終わってからだと思うんですけど……」 「大丈夫だよ、待ってるから。テスト、頑張ってね。」 そう言って、笑顔で送り出そうとした時……僕は翔君の胸の中に居た。
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