第3章

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本当に嬉しかったんだ。 来てくれただけで。 それだけで、僕は幸せを感じる事が出来たんだ。 「……リンさん。」 「……ねぇ、翔君。今日は…久し振りに出掛けたいな。」 「分かりました。いいですよ。何処に行きます?」 「初めてのデートみたいに……映画行って、ご飯食べて……一緒に買い物したい…な。」 すると、翔君はフッと優しく微笑んだ。 「いいですよ。」 「じゃあ、ちょっと待っててね!今、着替えて来るから!」 「はい。」 僕は嬉しくて、鼻歌を歌いながら着替えに行った。 「お待たせ!じゃあ、行こうか。」 「はい。」 肩が触れそうで触れない距離。 この微妙な距離にさえ……僕はドキドキしてしまう。 「ねぇ、リンさん。」 「え?な、何っ?」 「緊張……してます?」 「そっ……そりゃあ……こうやって歩くの、久し振りだもん。」 そんな僕の言葉を聞いた翔君がクスッと笑うと……僕の手をギュッと握った。 「ちょっ!?か、翔君!?ココ……道路だからっ!」
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