第3章

24/31
前へ
/231ページ
次へ
―――怖かった。翔君に名前を呼ばれる度……別れを告げられるのではないかと。 だから、返事なんか……したく無かった。 「……何?」 「俺……リンさんが好きですから。」 ねぇ、何でそんな事言うの? 何で……僕をそんな風に縛り付けるの? 嫌いになったんなら……ハッキリ言えばいいじゃないか。 そんな、よそよそしい態度なんか取って……好きだなんて…矛盾してるよ?翔君。 「……そっか。じゃあ、バイバイ。」 「えっ……リンさん?」 「ほら、またねって言ってんの。早く出てって。」 「ちょっ……リンッ……」 バタンッと扉を閉めた。 ―――だって……もう涙が溢れてきて、止まらないから。 これ以上居られたら……涙を見せちゃうところだったから。 あぁ……まだフラれてもないのに、泣いちゃったよ。 ―――ごめん、シュウちゃん……僕、シュウちゃんとの約束守れそうにないや。 僕は声を押し殺しながら、外に響かないように静かに泣いた。 ただひたすら……泣いた。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

792人が本棚に入れています
本棚に追加