792人が本棚に入れています
本棚に追加
―――怖かった。翔君に名前を呼ばれる度……別れを告げられるのではないかと。
だから、返事なんか……したく無かった。
「……何?」
「俺……リンさんが好きですから。」
ねぇ、何でそんな事言うの?
何で……僕をそんな風に縛り付けるの?
嫌いになったんなら……ハッキリ言えばいいじゃないか。
そんな、よそよそしい態度なんか取って……好きだなんて…矛盾してるよ?翔君。
「……そっか。じゃあ、バイバイ。」
「えっ……リンさん?」
「ほら、またねって言ってんの。早く出てって。」
「ちょっ……リンッ……」
バタンッと扉を閉めた。
―――だって……もう涙が溢れてきて、止まらないから。
これ以上居られたら……涙を見せちゃうところだったから。
あぁ……まだフラれてもないのに、泣いちゃったよ。
―――ごめん、シュウちゃん……僕、シュウちゃんとの約束守れそうにないや。
僕は声を押し殺しながら、外に響かないように静かに泣いた。
ただひたすら……泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!