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翔君に用事があると言われて断わられた日、家に居るのもちょっとと思い、気分転換に外に出かけた。
特に用事もなく、ブラブラと歩いていた時……目の前を翔君らしき人が歩いていた。
―――今日は絶対会いたくないな。と思いつつも、翔君がこれから何処に行くのかがどうしても気になってしまった僕は、歩く速度を落として翔君の後を付いて行った。
すると、誰かを見つけたのか少し小走りでその人の元へと向かった翔君。
僕はバレないように、曲がり角に身を隠した。
「すみません、遅れてしまって……」
此処に居ても、十分に会話を聞き取ることが出来る。
―――こんな事、してはいけないって分かってるけど……しないではいられなかったんだ。
「いいわよ、さぁ入りましょうか。」
その声を聞いた瞬間……僕は背筋が凍った。
この声は……
確認しようと、曲がり角から少し顔を出す。
―――其処に居たのは……紛れもなく、自分の母親だった。
頭が追い付かなかった。
どうして……翔君は僕の母親と一緒に居るの?
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