第3章

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僕が嫌いな母親。 僕が、愛に飢えて育った根本的な原因を作った母親。 ―――なのに、どうして? どうして翔君は……そんな母親と知り合いなの? 僕は泣きそうになりながらも、二人の後を追いかけて、喫茶店へと入った。 ……助かった。何とかバレずに店内に入る事が出来たし、翔君と母親の近くの席に座れた。 「…じゃあ、早速だけど……今、息子とはどんな感じなの?」 その言葉が僕の耳にハッキリと聞こえてきた。 ―――息子………… 「あ……はい、仲良くさせてもらっています。」 翔君が戸惑いながら母親の質問に答える。 「そう。でも、そろそろお願いした期間だから。分かってるわよね?」 「でもっ……」 「まだ金を取るつもり?もう十分でしょ?そろそろ離れてもらわないと、息子に影響が出るのよ。分かるでしょう?」 「そういう事じゃなくてですねっ……」 「……はぁ、いい?貴方はただ、息子に愛を教えてあげればいいのよ。……元々貴方はそういう役目でしょ?幸せの運び屋さん?」 「…………」
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