第4章

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一番、失いたくない人を失ってしまった。 一番……傷付けたくない人を傷付けてしまった。 俺は、何て浅はかで未熟で馬鹿な奴なんだろう。 「おー、翔汰。元気かー?」 「……元気な訳、ねぇし……」 「は?何だよ……え、もしかして…お前フラれたのかよ?」 「……バレた。俺がやってた事が。……でも、それはしょうがないと思う。けど……俺は何も言えなかったんだ。」 「何も、言えなかったって?」 「好きだ、とか……俺の本心を伝える事が出来なかった……。みっともねぇけど、忘れろって言われて……嫌だって縋り付く事しか、出来なかった。」 「翔汰……。」 「もっと……早く言っていれば良かった。俺がっ……」 「……仕方ねぇだろ。お前だって、わざとやってた訳じゃねぇんだし…」 「でも俺は……あの人を傷付けたんだ。俺は……あの人を、一番最低な形で裏切ったんだ。」 「…………」 「俺は、……あの人のことが……本当に好きだったのに……」 ―――ごめんなさい、リンさん……。 もう一度だけ……貴方の笑顔が見たいよ、俺は……。
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