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母親と会う当日……。
俺は緊張しながらも、指定されたカフェへと向かった。
「もしもし、黒瀬さんですか?はい、今到着しました。あ……!」
カフェの中から顔を出した女の人。40代後半といったところだろうか。大人の女の人、という魅力があった。
「……ふーん、やっぱり男の子にしたのね。」
席に案内され、向かいに座った俺を品定めするかのようにじっくりと見つめてくる目の前の女性。
「顔は……合格ってところかしら。誰にでも通用する様なイケメンだもの。」
「あぁ……はい、ありがとうございます…」
「それと、もう一度確認しておきたいんだけど……貴方はちゃんと息子を愛してくれるわよね?」
―――やっぱり、この人にとってそこだけが重要な問題らしい。
「……あの、差し支えなければ理由を教えてもらう事とかって、出来ますかね?」
「……まぁ、貴方には依頼しているんだし簡単に言うわね。ただ、息子は愛されてこなかったの。私にも、そして誰からも。愛を知らずに育ったのよ。」
「それは……」
大袈裟じゃないのか?と思った。
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