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「分かるのよ。まず、私が愛情を持って育ててあげられなかった。……何とも思ってない人との間に産まれた子だったからね。家には基本帰らず、いつも息子を一人にしていた。」
母親はさも当然のように話していたが……正直、信じられなかった。そんな、母親が居るのかと……。
「息子は常に寂しそうな顔をしていた。……でも、それと同時に私には一切感情表現を出さなかった。……そんな、孤独な存在なの。息子はね。」
「……」
仕事だけだったのだろう、この人は。
自分の息子を、愛してやれなかった……可哀想な人なのだ。
「……だから、愛っていうものが何なのか貴方に教えてもらいたいの。将来的には、ちゃんと息子にも結婚してもらいたいし。……あの子は、私の病院を継ぐ気も無いらしいからね。」
―――病院……。成程な、だから金をいくらでも出せる訳だ。
「……分かりました。それでは、その息子さんについてもう少し詳しく教えてもらってもいいですか?」
「えぇ、……これが私の息子よ。」
そう言って取り出された写真は、隠し撮りをしたかのようなアングルだった。
……いや、きっと隠し撮りだろう。
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