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「あー大丈夫大丈夫、碓氷ちゃんには関係ない」
首を傾げる私に、 藤田は丁寧に説明してくれる。
「親交パーティという名の、いわゆる婚約者探しだからこれ」
「婚約者探し?」
「そ。息子がいつまでも結婚しないのを心配した親が催してるパーティ。来てんのはどっかの令嬢ばっか。残るは俺らみたいな、ちょっと仕事で関係ある奴ら」
「結婚しないのを心配してパーティとか、お金持ちの考えることは違いますね」
「な」
私の親は、心配してるんだろうけど表立っては言ってこない。
仕事が充実してるなら良い、見守るよといった感じだ。
「お、あそこにお得意様の湯本様がおられるから、挨拶してくるわ。いけると思ったらガンガン食らいつけ。腹減ったら適当に食ってろ」
藤田の指差す方向に、確かにお得意様の湯本様がいた。
言うだけ言って藤田は、私を置いてサッサと行ってしまった。
初めての場所で初めてのパーティなのに。
早速1人になってしまった。
周りには綺麗な女の人達。それぞれ談笑しているけれど、ライバル同士なんだなと思うと複雑な気分。
場違いな場所に来てしまった感が半端ない。
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