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「あはは、可愛いな、夏海」
私が旦那様になろうとする彼に、私の忌まわしい夏の思い出を話すと、彼は笑ってそう言った。
「そんな笑わないでよ、私なりに真剣に夏なんてなくなればいいと思ってきたんだから」
そう、こうして思い返してみれば、どれもたいしたことないエピソードなんだけど。
それでも、私は私なりに真剣にその時は悩んできた。
「大丈夫、夏海。これからは、俺がずっと誕生日のお祝いをしてあげる」
ふっと笑ってそう言う彼。
「夏海の黒くて健康的な肌が俺は好きだし」
結局、水泳部を引退しても、たいして白くはならなかった肌を撫でながら。
「その事故で夏海が生きてて本当に良かったよ、それにそんな男に初めてを捧げないでいてくれて本当に良かった」
結局、大学時代の彼とはそのまま別れて。
その後出会ったのが今の彼だから...
初めての相手は今の彼になる。
「それに、今年の夏は最高な夏になるだろ?」
そう、今年の夏。
私は彼と結婚するんだから。
夏なんてなくなればいいのに!!なんて、私はもう言わない。
幸せな夏にするんだから!!
私、夏海、夏生まれの女。
この夏、幸せな夏にします!!
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