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「ふぁああ……」
……………
「よく寝た」
どうやらデスクに突っ伏したまま寝ていたらしい。卓上の鏡に映る頬にはうっすらと圧していた書類の束の痕が残っていた。
「もう、寝過ぎですよ来斗くん?」
そんな俺、石ノ森 来斗(イシノモリ ライト)を見下ろす女性は緑川 夏海(ミドリカワ ナツミ)、同僚ではあるのだが、助手である俺に対して向こうは秘書である。
仕事の中身も断然向こうのほうがグレードが高く、丁稚と番頭くらいの差がある。
なのだが、古株同士ということなのか対等な関係性で今までやれている。
「もう、社長が帰ってきてたら大目玉ですよ?」
「へいへい。さっさと片付けて帰りますよーっと」
プイと身を翻して秘書室へと帰っていく夏海。
あーもう可愛いなチクショウ。
そんな煩悩を頭の隅に押しやり、書類の海へとダイブしていく俺であった。
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