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「ん・・・・・・」
俺はゆっくりと目を開けた。
あれ、誰か一緒に寝てる・・・・・・。
ん!?
ん、ん!!!??
「黒金!?」
びっくりして、体を起こすと布団がめくれる。
二人とも裸で、黒金の体が少し震えた。
「さみぃ」
そういうと、微かに瞳を開けた黒金が俺の手を引いて抱きかかえる。
「え?」
包み込まれるように俺は黒金の胸の中にすっぽりと収まっていた。
ちょ、何この状況!
恋人同士の夜の後みたいな雰囲気をかもし出しちゃってるから!!
あり得ない! あり得ない! あり得なさすぎ!!
「はなして・・・・・・」
黒金を押し返そうとしてもびくともしない。
「だめだ」
耳元で言われて、なぜかちょっと身震いをした。
うぅ・・・・・・。
なんか、心臓の音が早くなってる。
乙女か!
うぅ――。
とりあえず、早く離れたい。
「く、黒金! 俺、と、トイレ行きたい! だから、離して!」
「ん? トイレ? 分かった」
手がほどかれたと同時に俺は個室のトイレに逃げ込んだ。
そして、便座に座り、気持ちを落ち着かせると、昨日の出来事が次々、頭の中に浮かんできた。
「嘘だろ・・・・・・」
マジでやったんだ・・・・・・。
いや、これは紛れもない現実だ!
受け入れがたいが現実だ!
俺はなんてことを!
頭をかかえた俺はトイレの中で声にならない叫びを上げた。
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