高校一年生の春

9/9
315人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
放課後  そして、事件は起こった。   なぜか、俺と黒金が同居していることが学校中の噂になったらしい。  それはもう、女の子たちがあれやこれやいろいろ想像して、キャーキャー言ってるくらいだ。  なんだよ。一体! 兄弟になっちまったんだから仕方ないだろう!  そんな時、俺に用があるって言う、かわいらしい女の子がやってきた。  これは!? まさか、あれなのか?  俺はちょっとだけ期待した。  教室の廊下でその子はもじもじとした。手には何か持っていた。  これは、ラブレター!! 「あの、高宮くんは黒金くんと一緒に住んでいるんだよね」 「え、そうだけど・・・・・・」  ん? なんか嫌な予感がしてきた。 「この手紙! 黒金くんに渡してください! お願いします!」  そう言って、ラブレターを押しつけられ、その子はすぐに走り去ってしまった。 「え・・・・・・」    嘘だろ・・・・・・。俺のじゃないのかよ。  呆然と立ち尽くし、誰かに肩を叩かれた。 「お前、これからそんなのばっかり受け取るぞ」 「マジかよ。僚也、俺、もう死にたい」  僚也が優しく俺を抱きしめてきたと思ったら、毒を吐く。 「そうか、なら、死んじまえ」 「えっ!? なんで! ひどっ!」 「冗談だ」  僚也はくすくすと笑って、俺の髪をわしゃわしゃした。  くそ! 黒金め! この恨みはらせねぇーと!
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!