315人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
俺は黙って桜の話を聞いていた。
どの話も全く身に覚えのないことだった。
でも、確かに、勇真と同じ教室にいた時、無意識にその姿を目で追っていた。
この子が言っていた通りだ。
何かとあいつは目に入るんだ。
思い出したい。
一体、俺は高宮勇真の何に惹かれたのか。
それを知りたい。
今はそれが分かっただけで十分だ。
もやもやが少しだけ晴れた気がした。
さっきよりも、苦しくない。
「ありがとう。桜さん。それとさっきの告白だけど、今の俺も、前の俺も、断ると思う。本当にごめん」
桜は下を向いて首を横に振った。
「そういうって思ってた。ありがとう黒金くん。好きだったよ」
俺からももう一度「ありがとう」と最後に伝えて俺は教室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!