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電車の中
ガタンガタンと揺れる電車の中で、移り変わる風景を眺めながら俺と黒金は隣同士で座っていた。
うぅ~、一緒に帰ろうといったものの、これは・・・・・・気まずい!
電車に乗って早一時間、無言!
何一つ口を開いていない!
何? これ? 俺が悪いの!?
なんて声をかけて良いかも分からず、黒金を横目でちらちらと見る。
黒金は窓の方を眠そうな目でぼぉ~と見て、大きな欠伸をした。
その欠伸が移ってふわぁ~と口を開ける。
なんだか俺も眠たくなってきた。
ふと、視線が下に向く。
あ・・・・・・右手が開いてる。
って、俺、何考えてんの! 手つなぎたいとか。恋人同士じゃあるまいし。
黒金にばれないように頭をぶんぶん振る。
今日は、ホントにおかしい・・・・・・また変な薬でも飲んだだろうか?
じーと右手を見つめて、少しだけ、少しだけと自分に言い聞かせて小指をそっとのせたみる。
あ~やってしまった。
どうする、もう取り返しがつかない・・・・・・。
目を瞑ったまま、左手に神経が集中する。
うお!! 黒金が手を動かしてきた!
なにするんだ?
うわぁ、あ!
指、絡めてきた。って、これ恋人つなぎじゃん!
自分からやっといてなんだけど、めっチャはずいぃ。
その後、頭にふわりと温かいものが辺り、ゆっくりと引き寄せられ、もたれ掛かる。
うっそっ!
これ黒金にもたれ掛かってるよね!?
ぎゃあぁぁぁ!!!
ど、ど、ど、どうしよう!
さらに、取り返しがつかない事に・・・・・・これじゃ、起きられない。
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