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「ゆうま・・・・・・」
ひえ、こいつ耳元で!
黒金の声が吐息ともに耳にかかる。
その度に、ぞくぞくぞくと背筋にしびれに似た何かが走って行く。その独特なものに中毒になりそうだ。
「好きだ・・・・・・お前、ほんとかわいい」
かぁぁぁー。
よくも、そんなこと言えるな!
そう否定をする反面、自分の顔に熱がどんどん集まっていく。
やばい、やばい。
はずかしいからやめろぉ。
「ゆ、う、ま、お前、本当は、起きてるだろ?」
ギクッと動きそうになったが何とかじっとして堪える。
「・・・・・・」
ここは、寝たふりを通すしかない!
「おーい」
鼻をくすぐるように指が触れる。
おわぁ、くすぐったい! がまんだがまん!
「おきてんだろ」
今度は耳ぃぃ! や、め!
「いいかげんにしねぇと!」
耳に、生ぬるい風がすぅーと入ってきた。
「ひやぁ!」
俺はネコみたいに飛び退いた。
「やっぱ、狸寝入りだったか」
黒金はにやりと笑う。
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