翌朝 *勇真サイド*

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 くそぉ、ばれてた。   「で、何? お前、心変わり?」  さっきまでとは違い目が笑ってない。黒金は立ち上がり俺を上から睨むような顔で低い声を発した。 「え?」  黒金はちっと舌打ちをし、俺の腕を掴んだ。 「ちょっとこい!」 「ど、どこに行くんだよ!」 「いいからこい、ここじゃ、人目につくだろ」  力任せに腕を引っ張られ、抵抗できずにそのまま連れて行かれる。  俺、どうなるの?  ドンッ! トイレに放られ、壁際に追い遣られた。 「おい! 痛い! 何すんだよ!」 「何するんだよ! はこっちの台詞だ! ずっと言ってるよな。俺はお前のことが好きだって」 「それがなんだよ!」 「だから、俺はお前と手をつなぎたいし、キスだってしたい。お前に触れたいし、セックスだってしたい」 「ちょっ、おい」  黒金は俺の手を握り、唇を奪い、反対の手を服の中に入れ腹部を優しく撫でる。 「や、やめろ」 「嫌だね。俺はお前が好きだから、触れてる。でもな、お前が、俺に触れるとどういう意味になるんだ?」  黒金の言葉を聞いてハッとしてしまった。  そうだった。    俺が、こいつに触ったら、そういうことになるんだ。     でも、そんな風に考えていた訳じゃない。 「なぁ、教えろよ」  黒金は睨み付けるようにそして、苦しそうに見てくる。  その目がすごく鋭くて怖くなった。
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