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高校一年生の春
俺、高宮勇真はこう見えても頭がいい。
自分が言うのも何だが、これでも中学の時は学年1位を時々とるほどでもある。
だから、このちょっとレベルの低い高校で優等生にでもなってやろうと、ここ櫻義高校の入試を受けた。
しかし、俺の思惑は叶わなかった。
499点という高得点をとったが、黒金は500点の満点を取ったんだ。
しかも、あいつは俺と同様にイケメンで非常にもてていた。そんなやつに俺が上がるはずだったステージを奪われた。
何もかも、全てだ。
優等生としてあいさつをしたせいで学校のイケメンNO.1はあいつの手に渡った。
俺はNO.2だ。
そして、神様のイタズラか、あいつと同じクラスになった。
あの手、この手で、あいつに突っかかっても無視されるか、皮肉を言われるかだけ。
何をしても、俺なんかを相手にしないし、見向きもしない。
それからというもの、何をしてもトップはあいつ。
一度もNO.1の座を奪い取れなかった。
そして、しまいには俺の彼女があいつに惚れちまったんだ。
中学から付き合って、3年も経ったのにここに来てあいつを好きになったから別れてと言われた。
そりゃないぜ。
だから、俺はあいつが大嫌いだ。
あいつも俺のことは心底、嫌っているようだ。
もちろん、俺がいろいろと嫌がらせをしているからだ。
嫌ってくれて結構!
俺が呪ってやる。いろんな恨み込めて。
そして、地獄に堕ちて、俺にわびやがれ!
こうして、4月、5月と過ぎ、6月を迎え、梅雨入りをした。
梅雨に入ってから独身だった母さんに恋人ができたらしい。
それも、毎日うきうきしてる。
相手を思っているせいか母さんの周りにハートがよく散らばっている。
きっと良い人なんだろうな。
だから思い切って言ってみたんだ。
「母さんが幸せだったら、俺、どんな父さんでもいいよ」
「ゆうちゃん! それ本当!? 私、あの人と結婚するわ。ありがとうね」
母さんは嬉しそうに笑った。
これが俺の運命を大きくねじ曲げることになるとは知らず。
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