フォルテ

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フォルテ

何時からだろう。 いや、最初からだった。 最初からこんなだった。 私は、項垂れる。 本当は嬉しいはず日のはずなのに。 「フォルテさん? どうしました? 進路を選択してください」 「はい。私は……ナイ……」 そこまで口にでるのに、それ以上がでない。 「うちはウィザードの家系なの。 だから、フォルテもウィザードにおなりなさい」 母の言葉が脳裏をグルグルと回る。 「フォルテさん?」 「あっ!はい。 ウィザードでお願いします」 「わかりました。ウィザードで登録しておきますね」 「う……はい……」 本当はナイトになりたかった。 だが、家系がそれを許さない。 何故なら、ウィザードとナイトは相容れぬ関係であり、敵対していると言っても過言ではない。 なりたいものになれない。 表向きは、職業の自由な世界だが、そうではない。 ウィザードの家系のものが、ナイトにコンバートした事例もある。 だが、コンバートした後、消息は不明になったと言う。 その上、その者の家族から被害届が城に届けられた形跡はない。 恐らく家族の者に消されたのだろう。 それほど、魔法と剣は混じり合わない。 それが常識で、当たり前だった。
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