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「塩の華が凄いな」 ディの言葉通り、構造物の内部には塩に因る金属類の腐食と、その堆積が見られた。 まるで一つの飾りの様に床や壁、天井に巨大な正方形の塩の結晶が花開く様子は幻想的でも有ったが、持ち込んだ明かりに照らされたそれらがキラキラと煌めく姿に見惚れ続ける訳にもいかない。時間は限られているのだから。 ニチも隣でことさら慎重に辺りを観察する。 そっと一度は結晶に触れてみたものの後は手を出さず、ディに比べて一周りは大きな身体を塩の間を縫う様に進めて内部構造を調べ始めた。 この構造物を作った知的生命体が残した数々の遺物は在るが、塩の腐食と時間の経過に大部分が駄目になっている上、肝心の創造主たる彼等の遺骸や痕跡を見つけられない。 「捨て去られた遺跡なのだろうか」 「判らないな。この場所が生きるのに不適切と捨てた可能性は高いが、俺達の様に宇宙に飛び立つ程の技術を手に入れたとは思えない」 「ああ、技術が余りにも稚拙だ。こんな塩の多い場所に作ってあるにしては多くのものに金属が使われ過ぎだし、自動修復をする機構も見られない」 確かに多くのものがボロボロになり原型を留めるものはない。 塩の結晶に閉じ込められているものも、赤茶けた寂しい色をしていた。
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