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素早く板状になった金の表面に在る模様を見て取ったディが、左目のカメラを作動させ、その情報を量子コンピューターへと送り始めた。 同時に膨大な並行次元と繋がる量子コンピューターからのフィードバックも始まる。 取れる時間は五分。 それ以上は脳が焼き切れる。 ディは僅か二分二十秒で情報のやり取りを止めていた。細長い通路にも見える室内を、端から端まで往復しただけの時間でもある。 「冷却期間だ」 ウィンクとお決まりの文句を口にし、今度は自分達が乗ってきた宇宙船へと情報を送り始める。こちらは送信だけなので負担はないが、ディの足取りは明らかに覚束ない。 「無理はしないでくれよ。それで何が分かった?」 「ルーツだ」 声は上ずり、ニチの耳にも興奮に震えて届く。 「大当たりだ。今度は大掛かりな調査団を組んで送り込む事を要請しよう。俺達の調査は大成功さ。後は祖先の遺体の一つも見つけられれば良いんだが、そこまでは無理そうだな。此処は生活の場じゃなく博物館みたいだ」 振り返ったディの表情は、残念そうだが成果の大きさには満足していた。
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