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切り出した扉を元に戻し、封印を施した二人は宇宙船へと戻っていた。
戻る際に一つだけ有った黄金の板を持ち出している。
それは全てが金で出来ている訳ではなく、銅板に薄く金を張り付け、そこへ情報を乗せてあった。今では読み取れない遠い過去の遺物。
二人にとって貴重な成果であった。
亜空間航法を使うとはいえ、故郷となる惑星を遠く離れて旅して来たのだ。
銀河の辺境部は、恒星の数も少ないが故に惑星の数も少なく、知性体の生まれる可能性も低いのではと一時期は言われて来た場所に。
「学説何て簡単に変わってしまうな」
手にした黄金の板の重みは、自分達の祖先が残して来た歴史の重みにも感じる。
「繁栄期以前の、暗黒期を知る手掛かりだよ」
四本の腕を忙しなく動かし、掘り出した物の情報処理を進めるニチの声も浮かれている。
嬉しくて堪らなかった。自分達の祖先が、宇宙へと拡散し始めた頃の記録は残っていないのだ。有るのは環境の違う惑星上での生存を有利に進める為に、自らの遺伝子改良を施すのが当たり前と成ってからのもの。
亜空間航法を操り、銀河系の端々へと行ける手段を手にした今、ルーツを辿りたいと言う気運が彼等の中で高まっていたのだ。
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