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「だが、あそこが生活の場じゃなかった事は残念だよ。お陰で祖先そのものの手掛かりは得られずか……。遺伝子が手に入れば、決定的な証拠になったのに」
「まあ、それも今後の調査で得られるだろうさ。ほぼ確定なんだ。此処が俺達の発生した最初の惑星だってな」
「量子コンピューターの回答は何だった」
「殆どデータを送っただけだよ。貰ったのは、そこに刻まれている過去の文字の解読法だ」
「読めるのか?」
期待に満ちた声への返答は待ったであった。
「今は、ちょっと無理だな。信じられんが言語が五十以上も有るんだ。頭がくらくらする」
「この小さな惑星上で五十以上の言語が使用されていたと言うのか? 驚異的だね」
「接続時間は半分以下で済んだんだけどな。データが多い」
一時の興奮から冷めた為か、ぐったりとしたディは座席の上でだらしない姿勢を取っていた。
そんな姿に対してニチは苦笑を漏らし、一人でもやりなれた宇宙船の操作を始める。
最も大部分が自動化されていて、行う事は少ないのだが。
「ディ、この星の大気圏外に出たら直ぐに亜空間航行に切り替える。異存はないか」
視線を向ければ、だらしない姿勢のままに首を縦に振られた。
そうして二人は、帰路の途中でもう一つの驚異に出会うのである。
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