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「こうした銀河の辺境で、俺達の祖先は生まれたのかも知れないんだよな」 塩が溜まって白く凝固した、広大な大地に降り立ち、ディは呟く。 灼熱の陽射しが肌に痛い。 空気は薄く乾燥し、空には雲と言う遮蔽物もない。 誰に向けた訳でもない言葉だったが、既に塩湖に入り込み堆積した塩を取り除き始めたニチが、大きな図体で振り向いて応えた。 「条件が揃えば生命は誕生する。不思議な事じゃないさ」 「銀河中心に近いよりも、辺境こそ条件が良いとも今は言われているしな」 パシャンと浅い水音を立てる靴底が、粗い塩の結晶を踏み潰す感触を伝えて来る。 この分厚く堆積した塩の中に、この星の過去の遺物が閉じ込められているのは分かっていた。 「この辺り何だろ、知的生命体が作ったと見られる構造物が埋まっているのは」 「そう、かなり浅い位置だ」 「ふう。こうした作業の繊細な部分は、相変わらず機械に頼れないんだよな」 「機械じゃ大事な部分を取り零す。まあ、僕等は自らの遺伝子をデザインして変えているからね、有機的な機械とも言えなくもないが」 「俺達は自然発生しているんだ。機械じゃないさ」 楽しく無駄話を続けながらも、ニチは堆積する塩を取り除き続ける。
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