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「量子コンピューターと繋がれる君は、まさに生き字引さ」 「負荷がでかすぎて時間制限が有るがな」 喋りながら素手でガツガツと塩を掘り進めて行くニチは、その繊細な指先の動きで、どんな小さなものも選り分けてはディへと渡して行く。 受け取る端からディは、それを分析しては選別を繰り返す。 二人は、失われた自分達のルーツを求め、此処まで旅して来た研究者であった。 「駄目だなあ、今のところ出て来るのは自然物ばかりだ」 「まあ、焦らず行くさ。知的生命体が作り上げたとされる物は、この下に埋まっていると分かっているんだし」 「どんな生命体だったんだろうな。俺達の失われたルーツと関わりがあるだろうか」 受け取ったばかりの塩に閉じ込められた物体が、ただの石ころと分かったディは遠くへと放り投げながら応えた。 それから、ふと思い出した事を口にする。 「なあ、幽霊船の話を知っているか?」 同時に大きく砕けた塩を取り除いたニチの目に、明らかに作られたと分かる構造物の片鱗が映った。 自然界には存在し得ない、錆びに強い巨大な金属の曲面が。
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