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航行技術の黎明期に事故に遭ったとされるのにも理由が有る。
危険がないとされる亜空間は一つではない。
幾つもの次元の重なりが有る中で、無事とされる空間を使用しているのだ。
中には生成されて直ぐに消滅する亜空間だってあるし、最近は無事な亜空間を作り出してそこを通る航法も編み出されている。
設備が大掛かりな為に、ゲートと呼ばれて特定の宙域にしかないのだが。
幽霊船が神出鬼没なのも、黎明期の航法だからこそ、幾つもの亜空間をまたいで彷徨っていると推測されるからだ。
恐らくは入り込んだは良いが、通常空間に出る際に事故が起こったか出力が足りなかったのだろうとも。
「よし、構造物が現れたぞ」
滑らかな弧を描くその表面にニチの四本の腕を持つ影が映る。
塩に腐食される事のない、セラミックと金属で出来た構造物の上に。
「早いな」
興奮に上ずった声を上げつつディが隣に並ぶ。
「ノズルをこっちに持って来て水を掻き出してくれ。それともう少し掘り出している間にテレポと内部構造を測る為の機材を」
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