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わたしは豊子(ゆうこ)
名前の由来は
「豊かになってほしい」という父の願いからだ。
あまりにもそのまますぎる。今時、~子って名前すら減ってきてるというのに……。
今日は引越しの日。
執事の荒川と手伝いの冷華さんと私の三人で
よく知らないが、山奥の古屋敷に引っ越す予定だ。
今は車の中で、こうして物思いに浸りながら到着するのを待っている。
するといきなりどこからともなく大きな音が鳴り響いた。
三人で急いで外に出ると、
「お嬢様、タイヤがパンクしてしまったようです」
と無口な執事が言った。
だが、それくらい私にだって見ただけでわかる。
そんなことより
これからどうするかが問題であった。
そんなことを考えていると
「お嬢様、あと1kmほどいけば屋敷には着きます。
私と冷華は車の修理をしてから追い掛けるので、さきに歩いて向かっていてください。
「タイヤくらいスペアと取り替えればいいんじゃないの?」
執事はすぐに答えた
「それがエンジンも故障してしまったみたいなんですでも、これくらいはすぐ直ります。」
仕方なく、私は暗い森の道を歩き出した。
--これが悪夢の始まりだとも知らずに。
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