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「…とりあえず諸々理解出来てないところがあるんで説明して貰えませんか?」
いつもなら絶対にこんな強気な発言、死んでもしないのだが…さすがに今回はそうもいかなかった。
「…ま、いいだろう。破壊すべき対象の世界にはお前が変身したような“仮面ライダー”と呼ばれる英雄が存在する…」
英雄と言われて悪い気はしないが、これからやることは“破壊”なので英雄というものの行為からは逸脱してる気がするがそれはさておく。
「だがこれから赴く世界のライダー達は、本来存在したライダー達とは別の…いわゆる替え玉に近い」
…これは言ってる意味がよく分からない。
首を傾げる俺を差し置いて、夏海が言葉を紡ぐ。
「元々その仮面ライダーに変身している人達がいて…これから“破壊”する世界の仮面ライダーは…その影武者…みたいなものですか?」
「影武者…まあ、ニュアンスは微妙に違うが概ね似たようなものだ」
そこから社長の独演会は続いた。
役目を果たした彼等は本来の道筋では、元よりとあるライダーに破壊されなければならなかったらしい。
だが、そのとあるライダーは彼等を仲間にし、つなぎ止めてしまったのだという。
その為、等質の仮面ライダーが存在する世界が2つ在ることになっているのが現状。
「ドッペルゲンガー…というのを聞いたことがあるだろ?」
「ああ…同じ顔したやつが本物を殺しにくる…みたいな?」
「…まあ、その認識でいいか。問題はその等質の仮面ライダー同士が意図せずに引き合い、混ざり合い…ゆくゆくは互いに干渉して滅び去る…ということだ。」
「…ようするに在るべきな方の世界もなくなるってことですか?」
俺の発言に社長はピクリと眉を上げた。
「お前にしちゃ察しがいいな…。そう、そしてそれが9つの世界全てに起こった時…仮面ライダーという“概念”そのものが消えてなくなる」
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