4人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで…どうなるんですか?」
「英雄がいるということはその反対、敗北者がいる。ライダーがいなくなればその怪人達は人間を、ひいては世界を滅ぼすだろうさ…。だから私達が破壊するんだよ…原典と世界そのものを守るために、紛物をな」
ーーーーーーーーー
会社を出た俺と夏海は、いつもとはまるで違う街の中を歩いていた。
「…ホントにやるんですか?」
「んーー?」
不安そうな夏海の声に対して、俺は気の抜けた声。
「…まあ、普通なら断るよな」
我ながら重責にも程があることをあっさり引き受けてしまったとは思う。
が、俺はそれを望んでいるという確信があった。
「…大事の前の小事、とまでは言わねぇけど俺はあの人の言葉なら信じるしかないんだ」
ーーーーーーーーー
来斗君は、小さな頃両親を事故で亡くしたそうだ。
その時拾ってくれたのが、社長なのだという。歳は十程しか離れていなかったが、既に今の会社の母体を作り上げていたのだという。
社長に救われたからこそ…生きることを支えてもらったからこそ…彼は彼女の言葉を無条件に信じられるのかもしれない。
ーーーーーーーーー
「おい、何ぼさっとしてんだ。着いたぜ」
俺が見上げた先のものを見た夏海の目が大きく見開かれる。
摩天楼にすっぽり収まっているという他ない、生きた龍の城…キャッスルドランの威容に夏海は圧倒されていた。
「ビルに…ドラゴンが…」
「社長の資料によるとこの世界のライダー、キバはあそこにいてファンガイアとかいうのと人間の共存を進めてるらしいぜ。」
「…ちょっと待ってください。そのキバってライダーを破壊しちゃったらファンガイアと人間が…」
「争う世界になるってか…ま、その辺は社長も考えてるだろ…」
俺は迷いなく歩みを進めていく。
最初のコメントを投稿しよう!