真夏の夜の夢

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ポキン。ポキン。 麻幹(おがら)を折る、軽い音と浮くような感覚の、このなんとも云えない爽快感。 何年やっても、やはり好きだ。 庭の門の手前で、細かく折り終えた麻幹を、焦げと錆(さび)だらけの、丸い鉄の盆に盛ってゆく。 作業の終わりに物足りなさを残しながら、ちぎった新聞紙にライターで火をつけ、それを火種にする。 麻幹の燃えは速く、もくもくと白い煙が、風向きで私に攻撃してきた。 煙い煙いと、左右に逃げても煙は毎回私を追う。 何故いつも母の方に流れないのか、煙はよほど私が好きらしい。
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