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「んっ~~、よく寝た」
俺は机から顔をあげて眼をこすった。目を覚ましたのは朝日が登る前。ミリアはまだ寝ている。
俺はミリアを起こさないよう静かに立ち上がり、小屋を出た。
小屋の外には砂浜が広がっており、地平線が見渡せるほど殺風景な海が眼前にあった。どうやらここは村外れの小屋らしい。
「潮風って気持ちいいよね」
俺はいきなり声をかけられ後ろに振り向く。そこにはさっきまで寝ていたミリアが立っていた。
「昨日はごめんね」
「謝ることないさ」
俺は軽く微笑む。
「ありがと」
ミリアは海の方を向き座った。俺もその隣に座る
「怪我が治ったらはやくここを出たほうがいいわよ」
「なんでだ?恩返しくらいさせてくれてもいいじゃないか」
俺の言葉を聞き、ミリアの顔が曇る。
「私は疫病神だから………不幸になるよ」
「じゃあなんで俺は生きてるんだろうな。ミリアのおかげだろ?俺は感謝してる」
俺はそう言ってからミリアの顔を覗いた。ミリアは驚いたような顔をしてから微笑んだ。
「初めてだなぁ」
「なにが?」
「そんなこと言われたの、嬉しい」
ミリアは砂浜に寝転がり空を見上げた。俺も同じように空を見上げてみた。
空は少し明るくなっているがぽつぽつと星が見える。
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