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光は肩の傷口までも包みこみ、痛みが和らいでいく。
これって白魔術か?
「ミリアって白魔術使えたのか!?ありがとう。だいぶ楽になったよ」
「う~ん、なぜか知らないけどそこらへんにある本な書いてあったから、流れついてすぐに試してみたの。そしたらできて」
ミリアは少し照れたように笑う。
「へぇ、俺なんか魔力全然ないから羨ましいよ」
「まぁあって損はないからね。けど白魔術しか使えないから狩りとかはできないの。それに人に使うのは初めてだから、一応許可はとらないといけないかなぁ、なんて思ってたり」
ミリアは手にした梨をナイフでカットしながら言った。その顔は心の底から喜んでいるように見える。
「ふーん、そうなんだ。………よし、狩りくらいなら俺が手伝うよ。今ので傷口は塞がったし」
「え?でも体力はまだ回復してないんじゃ……」
そう言われてから俺はニッと笑う。
「体力だけが取り柄なんだよなあ、俺って」
「それに……」
「そうとなればさっさと行こう」
俺は枕もとにある剣を手にとり、気が進まなさそうにしているミリアの手を引き、小屋を飛び出した。まだ少しだけ肋骨が痛んだが気にしないようにする。
「狩りといったらやっぱ森だよな、森ってどっちだ?」
俺がミリアのほうに振り向いた瞬間、小さな石ころがミリア目がけて飛んできた。
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