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「大丈夫かミリア」
俺はミリアのほうに向き直った。
ミリアは驚いているようだ。地面に座っており、口はポカンと開かれている。
「ミリア?」
「…………へ?あ、あぁ……うん大丈夫」
ミリアはまだ驚きが抜けていないらしい。
「どうした?」
「へ?……いや守ってもらったのも初めてだから……」
「いままでもこんなことがあったのか……」
一瞬さっきの子供たちの顔が頭をよぎる。あいつらが子供じゃなかったら絶対に殴りかかってたな。
「うん……でも白魔術使えるから怪我は平気だけどね」
ここでミリアは弱々しく微笑んだ。
「って、頭!?」
「ん?あぁこれくらいなら平気だよ」
俺は額を触り、改めて出血していると実感した。
「ダ~メ、今日狩りはいいから小屋に戻るの」
ミリアはそう言うと立ち上がり、俺の腕を引っ張り小屋の中へと無理矢理連れ込んだ。
「守ってくれてありがと。だけど怪我はしないでね」
ミリアは俺の額の傷口を塞ぎ、軽く微笑む。
「でもなんで疫病神なんだ?どう考えてもおかしいだろ」
俺は一番気になっていることを訊いてみた。
「………私がここに来てから何度か村が魔物に襲われたのよ………でももう慣れたから大丈夫!」
「………嘘だろ、あの脅えかたは異常だった。あんなことされてたら人間不信になってもおかしくないぞ?」
俺がそう言うと、ミリアは俯き黙りこくってしまった。
「まぁもうあんなことさせないから安心しろって」
「………ありがと」
ミリアはまた微笑む。……やっぱり強いよ。
「にしても外がダメとなるといつも何してるんだ?」
「ううん、外には出れるよ。痛いの我慢すればね。だから食糧も調達できるのよ」
いや、これは笑って話すことじゃないだろ。
「痛いめに会わなきゃ食糧調達ができないってのもおかしいぞ」
「気にしない気にしない、いつもは小屋で寝てるよ。夏は海で泳げるし」
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