孤独な2人

11/17
前へ
/271ページ
次へ
「大丈夫かミリア」  俺はミリアのほうに向き直った。  ミリアは驚いているようだ。地面に座っており、口はポカンと開かれている。 「ミリア?」 「…………へ?あ、あぁ……うん大丈夫」  ミリアはまだ驚きが抜けていないらしい。 「どうした?」 「へ?……いや守ってもらったのも初めてだから……」 「いままでもこんなことがあったのか……」  一瞬さっきの子供たちの顔が頭をよぎる。あいつらが子供じゃなかったら絶対に殴りかかってたな。 「うん……でも白魔術使えるから怪我は平気だけどね」  ここでミリアは弱々しく微笑んだ。 「って、頭!?」 「ん?あぁこれくらいなら平気だよ」  俺は額を触り、改めて出血していると実感した。 「ダ~メ、今日狩りはいいから小屋に戻るの」  ミリアはそう言うと立ち上がり、俺の腕を引っ張り小屋の中へと無理矢理連れ込んだ。 「守ってくれてありがと。だけど怪我はしないでね」  ミリアは俺の額の傷口を塞ぎ、軽く微笑む。 「でもなんで疫病神なんだ?どう考えてもおかしいだろ」  俺は一番気になっていることを訊いてみた。 「………私がここに来てから何度か村が魔物に襲われたのよ………でももう慣れたから大丈夫!」 「………嘘だろ、あの脅えかたは異常だった。あんなことされてたら人間不信になってもおかしくないぞ?」  俺がそう言うと、ミリアは俯き黙りこくってしまった。 「まぁもうあんなことさせないから安心しろって」 「………ありがと」  ミリアはまた微笑む。……やっぱり強いよ。 「にしても外がダメとなるといつも何してるんだ?」 「ううん、外には出れるよ。痛いの我慢すればね。だから食糧も調達できるのよ」  いや、これは笑って話すことじゃないだろ。 「痛いめに会わなきゃ食糧調達ができないってのもおかしいぞ」 「気にしない気にしない、いつもは小屋で寝てるよ。夏は海で泳げるし」
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加