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「そろそろ起きなさい!!」
地をも揺るがすかのような怒鳴り声、それで俺は飛び起きた
「は、はい!!」
「ったくいつまで寝てるんだか」
「いつまで寝てるってまだ9時じゃんか……」
俺の抗議は聞く耳を持たない母さんには無意味だったらしい。
「もう9時よ、ほら掃除するんだからどきなさい」
その一言で俺の抗議を打ち消した。
この朝から口うるさいおばさんは俺の母親だ。家事等が得意でいい母親………だけど怒りっぽいけど。
そして俺の名前はカイ、この村では数少ない若者の一人だ。
「ん~もうちっと寝てちゃダメ?」
母さんは無言で俺を睨みつける。無言ってのが恐さを更に引き立ててるな。
「はぁ、じゃあ行ってきま~す」
俺は仕方なく素早く着替を済ませ、たいしてでかくはない家を出た。
この村、カトル村は小さな村だ。地は舗装もされておらず、木材でできた家が並び、店はあまりない。学校等の施設もないため子供は暇だ。生きるための術は親から教えてもらうのだ。村の外には魔物等もうろついているため身を守る術も教わる。
「ずいぶん遅い起床だね」
「ん?あぁマットか」
俺が家を出るなり話しかけてきたこいつはマットだ。俺の親友で気が利くやつ。武術は苦手だが魔術では村で1、2位を争うほどの実力がある。まあ村人は少ないんだけどな。
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