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「…………」
「今日はここにいてくれるよね?」
「………あぁ」
ミリアは寂しげな表情で小屋の方へと歩き始めた。俺もそれに続いて歩き始める。
「あ、そうだ!!」
小屋の前、突然ミリアが叫ぶ。さすがに戸惑いを隠せない。
「ど、どうかした?」
「ん、いやなんでもないの」
そう言うミリアの頬は少し緩んでいるように見えた。………なんでもないわけないよな。
俺は疑問を抱きつつも小屋に入った。
小屋に入り、俺達は疲れのせいもあり、すぐに深い眠りについた。
「カイ!!起きて!!」
早朝から俺の耳朶を打つミリアの声。それに俺の意識が覚醒してくる。
「んん?んぁおはよぉ」
俺はまだ重い目を擦って起きあがった。
「今日村から出てくんでしょ?」
「あぁ、そうだった」
「じゃあはやく行こっ」
………ん?今の台詞、なんかおかしくないか?…………まさか―――
「私もついていくんだから早くしてよね」
にこやかに言ってみせるミリア。………マジすか。
「いやせっかく村にいれるんだからさ」
「なに?私が一緒じゃ嫌?」
そう言いながら詰め寄るミリア。俺は一歩後退さった。
「いや俺といたら絶対危険なめに会うよ。俺、多分帝国に狙われてる。だから他の町にもとどまらないと思うし……」
「あれ?恩返ししたいんじゃなかったっけ?」
さらに迫ってくるミリア。俺はとうとう壁ぎわまで追い詰められた。
「いやでも―――」
「命の恩人の言うこと聞けないんだぁ」
ミリアは悪戯な笑みを浮かべて俺に顔を近付ける。
「うぅ………」
「じゃあ決定ね」
「でも危険―――」
「それともなに?私をまた一人にするの?」
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