序章

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「っんー、それで今日はどうする?」  マットが俺より少し小さな体を伸ばし、大欠伸をしてから訊いてきた。 「ん~剣の稽古するにも親父は狩りに行っちゃってるしなぁ」 「カイも少しは魔術の勉強すればいいのに」  マットが呟いた瞬間、俺は顔をしかめた。俺に魔力が少しもないからじゃない、勉強とあい単語を聞いたからだ。 「俺魔力ないんだよなぁ」 「あ、ごめん」 「べつにいいよ。本当は勉強嫌いなだけだしな。………よし、釣りでもするか」  これは俺たちが本当に暇なときの最終手段だ。まあ毎日のように行ってるけど。 「おぉいいねぇ」  どうやらマットは賛成みたいだ。  俺たちは釣りをするため、一旦家に釣り道具をとりに行き、海岸へと足を運んだ。海岸は村を出て少し歩くとある。  海岸には桟橋があり俺たちはいつもここで釣りをしていた。 「今日こそ大物釣るぞ!!」 「いつも小魚ばかりだからね」  マットは俺にたいして棘のある言葉を吐いてから釣糸を垂らした。その顔は清々しい。  あれから5時間、釣り上げた魚の数は3匹、大きさ10センチ前後という悲しい結果に釣りは終わった。  マットも同じような結果だ。 「今日も釣れなかったなぁ」 「まぁいつものことだけどね」  村に帰る道、マットはまた棘のある言葉を吐いた。精神的に結構きくな。  村に着くと門番の人が俺たちに駆け寄ってきた。その形相は恐怖と怒り、そして危機感の入り混じっている。 「に、にげ――――」  門番は言い終わる前に目を剥き絶命した。胸からは矢の先が突き出している。 「な!?どうなってんだこりゃ!?」 「と、とにかく行ってみよう!!」 マットは自分の家へ走っていく。俺も急に母さんが心配になり自分の家へ走った。
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