序章

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「逃がさん!!」  鎧の男は刀を懐にしまい大剣を構えて追ってきた。鎧の男の後ろからは3人程弓を構えた兵士が走ってきている。  俺は親父から受け取った剣を抱え夢中になって走った。  だがその努力も無駄に終わってしまった。俺は走っているうちに海の方へ向かってしまったようだ。俺は崖の上に追い詰められていた。  そして、ひゅん、と風を切る音と共に、矢が放たれ俺の肩に突き刺さる。 「ぐっ」 「追い詰めたぞ。素直に私達についてくるなら命はとらないでやる。さぁ選べ、生きて俺達と来るか、それともここで死に右腕を俺にもがれるか」 「右腕……これが狙いか……どっちも嫌だって言ったら?」 「………殺せ」  鎧の男がそう言うと後ろにいた弓兵が前に出て弓を引き絞る。 「お前なんかに殺されてたまるか!!」  俺は覚悟を決めた。剣を強く抱きかかえ、踵を返して崖から飛び降りる。 「な!?」  鎧の男がうろたえているのがわかった。  そして俺の体は海に落ちた。どいやらうまいこと岩にあたらずに済み海に落ちたらしい。  だが深く冷たい海のなか、俺の肺からはすぐに空気がなくなり、気を失ってしまった。
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