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俺は夢も見ずに気を失っているらしい。真っ暗な中ただ少女の声が聞こえてくる。
「え!?し、死体!?……………よかったぁ息はしてる。けどほっといたら死ぬわよね。かといって私が助けても迷惑がかかるし……でも助けなきゃダメね」
助ける?どうやら俺は一応生きているようだ。
少女の声が途絶えると共に俺の思考回路も断たれた。
「………る?、お…い、おーい生きてる?」
俺は透き通るような声で目を覚ました。
俺が眼を開くと、鼻と鼻がつきそうな程近くに、少女の顔があった。
「うぅん………ってのわぁ!!」
俺は驚き飛び起きようとしたが、肋骨と肩が痛みが走り失敗に終わった。なぜか怪我が増えている。
顔を近付けていた少女はボロボロの服―――というより布に身を包み、黒髪は長く伸ばされていてボサボサだ。だがそれでも美人といえるほど顔立ちは整っている。
「まだ無理しちゃダメよ、大怪我なんだから」
少女は俺を軽く押し、また横にする。
「き、君は?」
「あぁ、私はミリア、ミリア・ベクトルよ、あなたは?」
「俺はカイ、カイ・クリスト、助けてくれてありがとう」
俺は横になりながら礼を言った。
「ううん、ただ助けた所村人に見られちゃったから、あまり村には出ないほうがいいわよ」
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