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「やっぱ病人にはリンゴよね」
「俺怪我人なんすけど……」
「ひ、人のあげ足とらない!」
ミリアは頬を膨らませながらリンゴの皮を剥き始めた。手に持つナイフは刃こぼれが目立つ。
「そういえば聞きたいことがあるんだけど」
リンゴの皮を剥きながらミリアが訊いてきた。
「何?」
「その右手の石は何?」
「あぁ、これのこと?」
俺は自分の右手を見つめた。右手の甲には六角形の赤い石が埋め込まれている。
「俺もよくわからない。物心ついた時にはもうあったから」
「へぇ、あとなんで浜辺に流れついてたの?しかも大事そうに剣なんか抱えて」
「剣!?」
俺は剣という一言で村を襲われたことを思い出した。最後に見た村は激しく燃え盛っていたような気がする。多分あのあと火をつけられたんだろう。
「親父………母さん………。」
「……ごめん」
ミリアは俺の表情から察したのか、暗い顔で謝ってきた。
「あ、いやいいよ」
「カイも一人になっちゃったんだ……辛いよね」
「それでもやって行かなきゃ、じゃないと親父に怒られるからなぁ」
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