六章

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 戸惑いの表情だった凪の顔が、驚愕のものへと変わる。その反応は、ガラムの言葉が真実だということを意味していた。その場の誰もが何故凪の母親の名前を知っているのだと思わずにいられなかったが、対するガラムはさほど驚いてはいないようで、それどころかどういうわけか悲しげな表情を浮かべていた。謎の男性もまた(しか)り。ガラムは驚愕と困惑の色を浮かべる凪を見て、その重い口を開く。 「娘、お主には辛い話になるが、聞いておくれ」 「え?」 「結論から言おう。お主はお主の母親と父親との子ではない」 「――え」 「なっ!?」  突如知らされた驚愕の事実に、誰もが呆然として、開いた口が塞がらなかった。 「な、何ですかそれっ! いきなりそんなっ」 「まあ、聞くのじゃ。あれはそう、十七年前のことじゃ……」
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