六章

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 結局、子供に変化は見られず。母親の記憶を操作して人間界にいる恋人の元へと子供と共に送り返したのだ。そして記憶を操作された女は恋人に二人の子供だと言い、やがて二人は夫婦となり、今に至る。だが今では髪の色が原因で自らの子供に虐待をする始末。本人の知らぬうちに知らない男と無理矢理交わらされ、その男の子を生まされ、その男とよく似た髪の色で虐待など皮肉としか言いようがない。  ガラムは最初こそ何の変化もなかったことにひどく落胆していたが、次第に冷静になっていき、自分がしてしまったことの罪深さに気が付いた。同時に女と子供、そしてダーナに対し罪悪感で胸がいっぱいになったのだ。  それからは二度と同じ(あやま)ちを繰り返さないために、長老としての仕事を懸命に(こな)していき、ガラムのしたことを知らないダーナ以外の里の者全員が、皮肉にも以前より里がよくなったと言うようになったのだ。
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