六章

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「それが、お主の出生時の話じゃ」 「……」  ガラムが語る話にその場の者全員が呆然とし、すぐには口を(ひら)けなかった。 「お主は儂の好奇心による愚かな実験によってこの世に生を受けた、吸血鬼の里の被害者じゃ」 「それじゃあ、もしかして、さっき貴方と一緒に来たマントの人は……」 「……お主の実の父、ダーナ・ガロウじゃ」 「!」  半ば強引に真実を聞かされた凪にとって、ガラムの口にする言葉という言葉全てがひどく重く、簡単には信じ難いものだった。それはジル達にとっても同様で、この里で昔そんな実験があったことを今初めて聞かされて動揺している。尤も、実験のことが公になっていないのは、ガラムが公にすることで実験に興味を抱く者が出ないようにするため。
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