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20XX年 夏 希望ヶ原・某公園 昼-
ふたりの子供が追いかけっこをして遊んでいる。先を走る女の子を男の子が追い掛けていた。
男の子「あっ!」
男の子は足元小石に躓く。そして、地面へ滑るように倒れ込んだ。
男の子「う……」
男の子はうつ伏せたまま、痛みに堪えかねて鳴き始めた。先を走っていた女の子はその事に気付き振り返る。
男の子「うえええ…」
男の子はずっと泣いていた。女の子は心配して駆け寄る。
女の子「かっくん。大丈夫?」
男の子は尚も泣く。まだ幼い彼には、女の子の前で平然と虚勢を張れるほどの強さはない。
女の子「………」
女の子は男の子の前で膝をつき…優しく彼に語り掛ける。
女の子「かっくん。座って…」
彼女はそういいながら彼を座らせる。仰向けで座った男の子の右膝には、擦り傷が出来て、血が出ていた。
女の子は、彼の右膝に触れると、魔法の言葉を言う。
女の子「痛いの痛いの飛んでけー」
母親に教えてもらった魔法の言葉…それは気休めでしかないが、男の子は泣き止む。
男の子「………」
男の子は驚いた顔をした。痛みが消えている。
男の子「凄い!そらちゃん…痛くなくなっちゃた」
女の子「え?そう?」
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