第1章

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 男の子は可笑しそうに笑う。 男の子「さっ、帰ろ」  彼は手を差し出してきた。女の子はその手と繋ぎ、家に向かって歩き出す。 女の子「………」  また彼女の足に痛みが走る。さっき足をついた時に石でもあったかも…女の子はそう思いながらスカートを捲り、足を見た。 女の子「?」  右膝(そこ)には、見に覚えのない擦り傷があった。 七年後 5月8日 金曜 東京都某所・控え室 夜-  少女は少しばかり派手な服を纏い…マイクのチェックをする。今日は生ライブの日。成長した女の子は芸能界へと足を踏み入れた。 少女「………」  彼女は昔を思い出すように右膝を見ていた。そこには傷などはないが、ふとした時に痛みを思い出す。  男性が控え室に入ってくる。彼女のマネージャーだ。 マネージャー「そろそろ出番だ。最終チェックをして…」 少女「はい」  少女は頷く。その様子を見たマネージャーは他の部所へ指示を出す。 少女「ふう…」  新人である自分は…失敗すればなめられる。…緊張と興奮で熱を帯びた息を吐き出し、少女は立ち上がる。  マネージャーは指示を受け、彼女へ振り返る。 マネージャー「舞台裏へ」  息を整え、先を見据えた。そして歩き出す。
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