問題

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「面倒な人たちですからね」 「面倒で済むならいいけど、小日向さんに迷惑がかからないようにしないといけないから。迷惑どころじゃない事態だってありうるのよ」  もう一度ため息をついた松樹のその言葉を聞いて、杉元は首を傾げた。  不思議に思いながらも、洗い終わった皿の水を持ってきた布巾で拭いていく。 「そんな事態が起こる可能性があるのですか? 迷惑以上のことにはならないのでは?」 「可能性があるから言ってるのよ」生ゴミをまとめ終えた松樹が、次はテーブルの上を拭いていく。「今回もさ、全五回だし参加者についてはそれなりにチェックしたわけ。ナイスミドル風のおっさんは国際線のパイロット、おばちゃんはラジオとか動画メインで出てる副業タレント、おじいちゃんはまさかの杜氏、小日向さんはコンビニのバイト」 「SNSの登録内容とか書き込みからの情報だったんですよね?」 「結局、印象通りだったのは小日向さんだけ。他の人たちもそれなりの職業だから大丈夫だと思ってたら、このザマだったわけ。あんな大嘘つきがいたとはね……」  大嘘つき。その言葉に、今度は杉元が眉をひそめた。  話の内容はともかくとして、今のところ、それぞれの話で嘘だとはっきり分かる内容に聞き覚えがなかったからだ。 「……そんな話、してましたか?」 「してたわよ。一人だけ、明確にありえないこと言ってたでしょ?」  パイロット、タレント、杜氏のうち、一人だけ嘘をついているらしい。  それは誰で、どのような理由だろうか。    *
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