運命の大河に流されて(3)

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(どうしよう!心臓収まんない♪ 私がオトコだったら、もう今頃は彼女にとてもひどい事をしている! ダメ!と懸命に理性を働かせるが、それでかえって気持ちが収まんない! ダメダメ!ダメだよ!今日初めてお会いしたばかりなんですし! ちゃんと一人のオンナ、ううん、人間としての最低限のマナーを!) 懸命に気持ちを整理して、重い口を開き、彼女に声かけようとした…ちょうどそんな刹那(とき)でした オーナー店長がさっき作られていたカクテルをカウンター席に座るタイトスカートの美女に渡し、話かける (あぁ~ん♪ なんて素敵な声なの!?) オーナー店長の聞く者を瞬時に骨抜きにするエンジェルボイスにうっとりとしながら、じっと話の一部始終を聞く 二人の話によると、彼女高校教師だそうで、長い間片想いしている方(ひと)が居て、好きで好きで堪らないんですが、声をかけようかどうか、凄く悩んでいるそうだ その方(ひと)は、彼女の教え子 (結愛先生も私と付き合うために、こんなふうにひどく悩み苦しんでいたのかしら!) ただでさえ、ハードルが高いのに、その娘には、学校から歩いて、約10分の高校に通う彼氏が居るんだそうです 「うーん、悪いけどその娘が彼氏と別れない限りは、何も、しちゃいけないと思いますね」 「やっぱりそう思われます? そうだよね~! でも、彼女の事を想えば想う程、この胸が苦しくて堪らないの! それに彼女、約1年半後には学校を卒業しちゃうんだよ!? もう殆ど私に残されている機会(じかん)がない!」 「それでもダメ!分かるよね!?」 「うん、分かっている」 「少なくとも彼女が卒業するまで待たないと、その時点の彼女達の仲がどうなっているのか…」 「そうか~…」 とても厳しい返答(こたえ)なんだけど、それでも話を聞いてくれ、アドバイスを貰えたから、彼女はカクテルを飲み干し、オーナー店長に一礼して、姿を消した なんとかして笑顔を作ったけど、その後ろ姿は淋しさを隠さない…
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