三章 偉大なる色は黄金色

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「蔵原さん。この間の全国模試1位だったんですよね。どうしてそんなに成績がいいのに、こんな普通の高校に通ってるんですか?」 クラスメートの、そんな低レベルな質問に答えるのは正直面倒くさい。しかし女神は本心を素直に答える。 「私はどこに居ても同じだから。良い学校でも普通の学校でも、私は変わらない。だから行きたいところに来ているだけよ。良い学校じゃなければ成績が良くならない人間なんて、所詮その程度ってことでしょ」 自分に対する絶対的自信。それが蔵原女神を今の存在に形成する大きな力となっている。 女神は自分が特別であることを知っている。今まで出会った人間は大人も子供も含めて、自分と対等の存在とはなりえない事を知っている。 他人には基本無関心な女神だが、人の行動のそれ自体には興味があった。人間の感情と行動パターンを分析して解析。そして結果を予測する。しかし時に人の感情と行動には、女神すら予想できない結果を生むことがある。それは思いの外女神の心を高揚させた。 一度だけではなく、二度も女神の予想を超える結果を出した人物がいる。天城天・・ 女神は不思議な彼女に興味を示した。行動パターンが他の人間と大きく異なる彼女に・・・ そして大きく彼女を操作しようとした。クラスから孤立させ、激しいプレシャーを与えて、天城天を追い詰めていった。 普通なら少なくても不登校に。最悪の場合は自殺を選択するまでに、徹底的に精神を痛めつける。しかし・・・その状況でも彼女から笑顔は消えなかった。 女神はそんな天城天に、さらなる興味を持っていく。彼女が放課後に、学校の花壇で一人、花を写生していることを知ると。直接彼女に近づいた。 そして彼女の絵を見て、女神は確信する。 私は天城天という人物に惹かれている・・・
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